迷える安全運転管理者へ。白ナンバー事業者のためのアルコールチェッカーの選び方
白ナンバー事業者もアルコールチェッカーを使った測定が必須になる…という事実が浸透し始めています。
しかし「アルコールチェッカーって色々あるけど、どれを選べばいいのか」と悩まれている安全運転管理者の方も少なくないはず。
そうなんです。色々種類があるんですよ。私が当事者であれば、「どれが正解やねん!(ビシッ!)」…と、ツッコまずにはいられない状況だと思います。
ということで、アルコール測定器マイスター「タイガー井上」が皆様の会社の規模感、運用に合わせていくつかのパターンをご紹介したいと思います。
ぜひこの記事を読んで製品選びの参考にしてください!
アルコールチェック義務化で、いつ・何の管理が必要?
アルコールチェッカーの選び方をお話する前に、何が義務化されて、いつから開始なのかを簡単に説明します。
2022/4/1~ 目視による酒気帯び酩酊状態の確認
- 業務開始前後(出発時・到着(帰社時))にアルコールの確認を目視で行う
- アルコールチェックの記録を1年間保存する
第一段階の義務化ではアルコールチェッカーによる測定は必須ではないですが、目視で酩酊状態の確認が必要となります。
アルコールチェッカーによる測定が後ろ倒しになっただけで、義務化自体は予定通り開始します。
2023/12/1~ アルコールチェッカーによる酒気帯び確認
- 業務開始前後(出勤時・退勤時)にアルコールチェッカーでアルコール測定を行う
- アルコールチェッカーの有効性を保持する
- アルコールチェックの記録を1年間保存する
2022/10/1より延期となっていたアルコールチェッカーでの酒気帯び確認ですが、道路交通法が改正されて義務化される見込みのようです。
2023/6/9に公開されたパブリックコメントに「当面の間延期」としていたアルコールチェッカーによる測定を2023/12/1義務化開始予定として方針が示されました。
いよいよ待ったなしの状態になってきたので、当ブログで改めてアルコールチェック義務化の要件を確認していきましょう!
因みにアルコールチェックの記録って何を記録するのか気になる方がいると思いますが、こちらがその内容です。
- 確認者名
- 運転者名
- 自動車登録番号又は識別できる記号、番号等
- 確認の日時
- 確認の方法
ア アルコール検知器の使用の有無
イ 対面でない場合は具体的方法 - 酒気帯びの有無
- 指示事項
- その他必要な事項
上記を抑えた記録簿を作って記録と1年間の保管をしておけばOKです。
つまり、こんな構成の表になっていれば問題なさそうです。
日報にしている理由は出発(出勤時)・到着(退勤時等)のセットが必要なので、1日単位で確認した方が抜けもれが少ないだろうという配慮です。
この帳票は直行直帰は考慮していないので悪しからず。
本フォーマットをご利用になる場合は自己責任でお願いいたします。
アルコールチェック記録日報をダウンロードする
※クリックするとダウンロードが始まります。
オススメの業務用アルコールチェッカー・システム5選
今回はアルコール検知器協議会で認定されている機種の中から製品のご紹介をしたいと思います。
その前に「アルコール検知器協議会とは何だ?」と、思われるかもしれませんが、アルコール検知器メーカー(等)各社が集まって、アルコール検知器の普及・品質向上そして、飲酒運転の根絶を目的とした活動を行っている団体です。
「業務用アルコールチェッカー」を看板に掲げて販売しているメーカーが多数在籍しているので、ここで認定を受けた製品の品質は折り紙付きです。
さて製品紹介の前に、アルコールチェッカーは共通の特性が一つあります。
それがセンサーの精度の経年劣化です。極端なお話をすると空気に触れているだけでも精度が落ちます。
そのため、各製品の特長欄に有効期限(有効測定回数)という項目を書かせていただいておりますので参考にしてください。
この辺のアルコール測定器の仕組みに興味がある方は併せて「業務用アルコール測定器の秘密。飲酒運転ダメ絶対!|タイガーブログ」もご覧ください。
中央自動車工業製 SOCIAC α(SC-402)
市場で良くみかけるポピュラーなタイプのアルコールチェッカーです。息を吹きかけると、アルコール測定濃度をディスプレイに表示してくれます。
基本的には少人数の企業向けの製品です。簡単ゆえに測定した結果を記録するような機能は搭載されていません。
手書きで測定記録を残すこと前提の製品です。
- 初期費用:安い
- 固定費用:有(センサー交換)
- 測定が簡単、お手軽
- 有効期限:5,000測定もしくは1年半
特長
東海電子製 ALC-MiniⅣ
ミニプリンターを内蔵しているタイプの製品です。バス・トラック・タクシー向けの製品ということもあり、IC免許証リーダーを内蔵しているのもポイントの1つ。
アルコールチェックに加えて免許証携行確認までできるというのも特長です。
感熱紙に測定日時・測定結果・乗務員名・免許証期限などを印字してくれます。
必要最低限の情報が印字されるので、測定結果の記録を紙として保管しておくことができます。
- 初期費用:やや高い
- 固定費用:有(センサー・保守)
- 使い方が簡単
- チェック結果はロール紙に印字
- 有効期限:15,000測定もしくは1年
特長
サンコーテクノ製 ALC-GuardianNext
アルコール測定器ST-3000とPCソフトウェアALC-GuardianNextで測定結果をしっかり管理!
WEBカメラを使って測定結果を残すことに加えて、出庫(出発)、帰庫(到着)も記録が合わせてできるので、測定の抜け漏れチェックに最適です。
拡張性も高いため、後付けでIC免許証リーダーの取り付けや、健康管理機器との連動などもできたりします。
事務所に据え置きして大量の人数をさばくことに特化しているので、有効測定回数が非常に多いのも特長です。
測定結果は勿論ソフトウェアに記録されますので、過去の実績も簡単に検索できます。
- 初期費用:高い
- 固定費用:有(センサー+保守)
- PCでチェック結果を管理
- カメラでなりすまし防止
- 拡張性が高い
- 有効期限:70,000測定もしくは1年
特長
中央自動車工業 Sociac Neo
一番の特長は携帯できる点にあります。携帯できるだけではなく、スマホと連動して測定した結果をPCに送信をしてくれます。
当然、PCソフトウェアも用意されているので、PCに接続して測定も可能です。
携帯用・据え置き運用どちらにも使える万能タイプの製品です。
- 初期費用:やや高い
- 固定費用:有(センサー交換)
- スマホ連携で測定可能
- PCで結果を管理可能
- 有効期限:10,000測定もしくは1年
特長
テレニシ製 ホワイト点呼キーパー+アルコールチェッカー
ホワイト点呼キーパーはアルコール測定器ではありません。安全運転管理者向けに開発されたクラウドサーバでデータを管理できるソフトウェアです。
この製品はアルコール測定器で測定した結果をクラウドサーバで管理が可能です。
WindowsPCだけではなく、Android端末、iPhoneなどでも利用ができます。
さらにアルコールチェッカーは様々なメーカーの製品と接続が可能です。
クラウドサーバにデータがあるので、他営業所のデータも確認できるのが秀逸です。
- 初期費用:やや高い
- 固定費用:有(月額利用料)
- クラウドで一元管理
- ブラウザで測定結果を確認
- PC・スマホ等で測定可能
- ST-3000、SociacNeoと連携可
- 有効期限:アルコール測定器に依存
特長
他にもご紹介したい製品あるんですが、全部書くとカオスマップが出来上がってしまうのでこの辺でやめておきます。
今回は運用面・コスト面を考慮して厳選した製品をピックアップさせていただきました。
社有車の運用方法に合わせたアルコールチェッカーの選び方
いよいよ本丸のアルコールチェッカーの選び方です。
社有車の運用方法は企業によって様々なので、運用方法に合わせたアルコールチェッカーをご紹介したいと思います。
会社から出発到着が多い会社様向け。規模感別オススメ アルコールチェッカー
一番素直な構成です。そして、会社から出発到着が一番アルコール測定器の台数を抑えて運用ができます。
10台以下ならSociac α
10台未満の車両で、出発も到着も会社が基本という企業の方にはSociacがオススメです。
Sociacを製造されているのは中央自動車工業という会社になります。自動車向けの部品の製造開発をメインで行っている企業で製品の安定性に定評があります。
Sociacをオススメする理由は、お手軽かつ安価というのが一番の理由です。
10台未満であれば、アルコール測定した結果を手書きの帳簿に記載する方法での管理で十分行き届きます。
仮に9台での運用した場合に1日1人2回の測定、1年を240営業日で計算すると・・・
10台×2測定/日×240営業日=4800回/年
なので、センサーも丁度よく有効測定回数・有効期限ギリギリまで使えそうなので無駄もありません。
11台~30台以下 ALC-MiniⅣ
台数が10台~30台の範囲になると、手書きで記録するのが手間になってきます。こういった場合にミニプリンター内蔵版が地味に役に立ちます。
測定した結果の日時と数値を印字してくれたり、ユーザーを登録しておいて免許証をかざせば、測定者が誰なのかも印字してくれます。
運送業者さんなんかは点呼記録簿にこの印字した紙も添付して一緒に保管している企業もあります。
紙に書く手間が少なくなる上、効率が非常に良いのも特徴です。
30台×2測定/日×240営業日=14400回/年
30台ならセンサーの有効測定回数も1年で超えることはないので丁度良い感じです。
31台以上 ALC-GuardianNext(ST3000)
31台以上になると、紙での管理がさらに手間になります。その点、サンコーテクノ製のALC-Guardianであれば、測定結果をソフトで管理をするので安心です。
後は有効期限の問題があるので、高耐久と品質を保証している製品と言う意味でもオススメです。
100台×2測定/日×240営業日 = 48,000測定/年
100台以上の車両がある場合は、上記のように最低1年で48000測定が予想される場合は有効期限前に測定回数でセンサー交換・・・というのを防げます。
センサー交換のタイミングも有効期限前に連絡が来るので安心です。ただ、現実的には100人がアルコール検知器に並ぶと検査に時間がかかるので、この場合2台で運用するのがオススメです。
このお話をすると有効測定回数が大量に余ることを気にされる方もいるのですが、重要なのは常時有効に使える状態を維持することです。
有効測定回数が多いのはそういった理由も含まれているので誤解なきよう。
直行直帰が多い会社様向け規模感別オススメ アルコールチェッカー
10台未満 Sociac α
直行直帰の方が多い企業の方はドライバー1人1人にアルコールチェッカーを持たせてセルフチェックをしてもらうのも手です。
勿論、セルフチェックの上、管理者に連絡(電話等)は必要にはなってしまいますが、合理的だと思います。
性善説に基づいた考え方なので、ご運用に合わない場合は次でご紹介している製品の方が良いと思います。
10台以上 Sociac Neo
直行直帰のドライバーが10人/日を増えると、管理が行き届かなくなるのも事実。
10台以上のドライバーが直行直帰をするような環境であれば、システム化してしまうのが正解です。
スマホと連携して測定結果を自動送信してくれるSociac Neoが確実です。
外勤者のデータを確実に記録を残してくれる製品を選択することで、管理工数を削減できます。
会社からの出発到着・直行直帰・大人数の企業にオススメのアルコールチェッカー
あらゆるパターンにホワイト点呼キーパー(+アルコール測定器)
今まで説明した全てのパターンを網羅していて、大人数の企業の場合は一元管理できる製品がベストです。
本製品の特長はクラウドサーバにデータ保存するので、WindowsPCさえあればどこからでもデータ確認ができることです。
アルコールチェッカーと連携できる端末(Windows、iPhone、Android)が多く営業所や外出先など、どこからでもアルコール測定が可能です。
テレビ電話機能も搭載しているので、アルコール測定だけではなく、ドライバーへの指示事項、顔色からの健康状態の把握まで行うことが出来ます。
安全運転管理者に必要な確認事項の多く含まれているので任せて安心な仕組みに仕上がっています。
その代わり、それなりのコストがかかるのでその点も考慮して検討されるのが良いかと思います。
『2023年12月からアルコールチェッカーでの測定ならまだ余裕があるな』
・・・と、この記事を読んで思った方に補足です。
準備はお早めに。経験則上、期限ギリギリになると「業務用」と名の付く製品は入手困難になります。
家電量販店やショッピングサイトで手に入る類のものは、ある程度在庫を抱えていると思うので入手難易度は下がりますが、いわゆる運転のプロたちが使っているような機種(紹介した製品など)を選定されている場合は特に気を付けてください。
金額については本記事に書いておりませんが、気になる方は是非当社までお問い合せください。