運賃見直しで収支改善!トラック事業者が今すぐ実践すべきアプローチ
2024年問題、燃料費高騰、運送業はかつてないほどのピンチに陥っています。
端的に言って、ヤバイ!(もちろん悪い意味で)
「誰だ、2024年問題なんて難解なキーワードを作ったのは?俺たちの気持ちを全然理解してない!」
という事業者の心の叫びが聞こえてきそうです。さて、当運送業界の人間を苦しめている様々な要因ですが、運賃請求の見直しで世界が変わるかもしれませんよ?
今回はそんな運賃請求にまつわる内容です。
2024年問題は運賃にも関係している
2024年問題には、時間外労働960時間上限により長距離輸送の見直しが必要になる他、改善基準告示遵守による労働時間の抑制、それに伴うドライバーの収入減少などの問題があります。
ここで全日本トラック協会が提示した標準的な運賃をみてみましょう。
標準的な運賃【全国一括距離制運賃表】はこちら(※クリックで開きます)
各運輸局をクリックすると運賃表が表示されます。1)北海道運輸局
2)東北運輸局
3)関東運輸局
4)北陸運輸局
5)中部運輸局
6)近畿運輸局
7)中国運輸局
8)四国運輸局
9)九州運輸局
10)沖縄運輸局
標準的な運賃【時間制運賃表】はこちら
適正な運賃の収受によって、ドライバーの収入を守る取り組み=離職防止という観点で考えてみると、運賃の見直しも重要そうですね。
トラックのドライバー不足にはまず運賃見直し
ドライバーを一人雇うのにかかる広告費は約30万円と言われていますが、最悪100万円くらいまで膨らむこともあるようです。
特に昨今は物価が高騰し、経済自体は回復傾向にある(実感はできないかもですが)ので給与面も考慮する必要があります。
そのためにはまず運賃の見直しです。
運賃の見直しにはいくつかポイントがあるんですが、端的にまとめてしまうと以下の通りです。
運賃 ー(経費+支払)= 利益
「そんなこと知っているわ!」と思っていらっしゃる方が大多数だと思いますが、掘り下げてみませんか?
過去に運んだ荷物、ルートから運賃の傾向を調べる
過去の請求書を引っ張り出してください。いつ、どこで、荷物をどこから、どこまで運んで、いくらの運賃をとっているか。
恐らく、即答できる方はいらっしゃらないと思います。こういった情報を整理分類しておくことで、現状分析や運賃提案の際の礎になります。
何より、6月より改正される「標準的な運賃」との比較にも使えます。
運賃に何が含まれているか確認する
国土交通省も口を酸っぱくして言っていますが、附帯作業や荷待ち時間、燃料費高騰に伴う高騰分の請求(燃料サーチャージ)…これらは運賃ではありません。
運賃とその他の請求項目は分けて考える必要がありますが、請求書を見返したときにこういったものが込み込みになった運賃になっているなら、見直しのポイントになります。
各請求項目に合わせた適切な請求書を作成することが重要です。
経費を細かく記録する
経費を細かく分類するのは当然なんですが、2つの観点があります。
①修理代やガソリン代、オイル代、有料道路代など随時発生する経費
②保険代やリース代など固定で発生する経費
②は固定で発生する費用なので予測が立てやすいのですが、①は運行の状況や車両の経年劣化などの影響で発生する費用なので、随時記録を残さないと見えづらい経費になってしまいます。
特に①は1運行毎の運賃と経費を対に考えて、記録をすることが重要となります。そうすることで特定の事業者の収支が丸わかりにできます。
傭車先への支払も管理する
当然、傭車を利用した場合はその企業への支払いも考慮する必要があります。
どこの得意先の案件をどの傭車先に支払っているのかも、運賃設定をする上での重要要素になります。
全体で丸めた結果だけだと、運賃分析をするときに困ります。これも1運行毎にどの傭車先にいくら支払うのかしっかり把握しましょう。
始めようトラックの収支改善のための3ステップ
運賃・経費・傭車への支払が見えてくると収支の計算も可能になります。
収支が見えてくると、利益率の低い要因となっている箇所の特定が可能になります。
ではどのポイントに注力して確認すれば、収支改善につながるのでしょうか?3ステップでまとめてみました。
得意先別に収支を確認して最適化
得意先別の収支計算方法ですが、運賃と経費が紐づいているものはそのまま計算に含めます。
固定でかかっている経費は得意先ごとの実車キロで按分して経費に含めます。このように記録した運賃や経費を整理、計算することで得意先別の収支が見えてきます。
利益率の低い得意先を見つけたら利益率の高い他企業と違いを抽出し、対策を立てることができます。
車種別に収支を見て車両の過不足を考慮
お持ちの保有車種別の収支を見てみるのも一つ手ではあります。
実測値をベースに増やすべき車種と募集すべきドライバーの方向性を決めることもできます。
改めて標準的な運賃と比較する
ここまで読み進めていただくと、運賃というプラモデルの分解がいかに重要か理解いただけたのではないでしょうか?
さて、ここでもう一度改めて標準的な運賃と自社の運賃の状況を比較してみてください。
一覧表と比較するのも一つの手ですが、トラック協会が標準的な運賃計算ツールというものを公開しているので、比較してみてはいかがでしょうか?(ボタンをクリックするとエクセルがダウンロードされます)
標準的な運賃計の計算ツールの使い方はシンプルです。
距離制なら実際に配送する営業所の都道府県を選んで、走行キロを入力、時間制なら都道府県選択と時間と距離を入力することで標準的な運賃が表示されます。
とりあえず、1件、2件でも構いませんので過去の運賃請求のデータと標準的な運賃を比較してみてください。
運賃請求をシステム化するとどうなる?
運賃に適切な価格設定をすることが2024年問題解決の糸口になるという趣旨は伝わったのではないでしょうか?
これらの運賃を荷主や得意先に対して請求していく必要がありますよね。
では、これらを電卓をたたいて計算したらどうなるでしょうか?
答えはかんたん、オペレーションミスが生じます。
電卓で全部計算はしないにしても、AファイルからCへ転記、BファイルからCへ転記……みたいなことをしている方は少なくないはずです。こういった流れはミスの温床になります。
請求書作成や経費管理、支払管理を個別の業務として管理するのではなく、一連の流れを作り、テンプレート化して、運用することをシステム化と言います。
例えば、売上金額などをコピーして、経費管理のファイルに貼り付ける、入金確認用のファイルに貼り付ける……など、これはシステム化とは言いません。
一度入力した数値は共通部品として各目的の計算に使える構造にすることで、オペレーションミスも減りますし、運賃請求を適切に行うことができるのです。では、システム化するための手段を2つご紹介します。
EXCELをフル活用
EXCELで請求書を発行しているなら、一番やってはいけないのは1ファイルにつき、1請求書という構造にしてしまうことです。
エクセルに請求情報を一覧として保存、請求書を発行する際に一覧から請求情報取得して、請求書をPDF等で出力するような構造にするだけで、劇的に使いやすくなります。
請求データは一覧で参照できるし、請求書はPDFとして個別に出力できるので、請求データを探す手間そのものがなくなります。
販売管理システムを活用でプチDX
EXCELで関数やマクロを組めるような方は前章の方法でできるかもしれませんが、一般的にはそういったスキルを保有している方は稀です。
そういった場合は販売管理システムを利用するのがベストです。
請求、経費、支払、入金確認、収支管理などを総合的に確認できる仕組みが通常は搭載されておりますので、管理工数も削減できて、過去のデータから経営計画の指標になるようなデータ活用も簡単にできます。
ただし、一点注意点があります。販売管理システムなら何でもいいわけではなく、運送業には運送業に特化した販売管理システムがありますので、そういったものをチョイスすることが大事です。
運送業向けの販売管理システムについては『【運送会社向け】運賃計算・請求書・車両の管理ならトラックメイト』で詳しく解説していますので、詳細が気になる方はこちらの記事も是非ご覧ください。
運送業向けの販売管理システム「トラックメイト」の紹介
タイガーでは運送会社向けの販売管理システム「トラックメイト」を開発、販売しております。
トラックメイトは、請求、経費、支払、入金確認、収支管理に加えて、乗務員の労務管理や運送業向けの燃料サーチャージシミュレーション機能、過去の運賃を自由に検索できる仕組みなども搭載されています。
富士通製、矢崎エナジーシステム製のデジタコとも連動可能で、運転日報データの取り込みや、姉妹ソフトのトラックメイト配車Proと連動することで、配車データからトラックメイトに請求データを流しこむような運用も可能です。
もし、運賃請求でお悩みをおかかえなら、是非当社までお問い合わせください。